下糸(ボビンケース)の糸調子はどれくらいに調整するのが正解なの?

皆さんこんにちは
ハピメイド手芸教室のmichiyoです。
先日、職業用ミシンに付いているボビンケースの、空転防止バネについてご紹介しました。
私たちは、このように複数の糸調子調整の異なるボビンケースを用意しています。
でも読者さんの中には一度も「糸調子ネジ」に触れたことのない方や、原理の分からない方もいらっしゃるかも知れませんね。
今日は、ボビンケース(下糸)の糸調子の取り方について詳しくご紹介します。
ボビンケースの調整をしよう
「糸調子の合わせ方について、そもそも分かんない・・・」という方は、先ずこちらをご参照ください。
下糸の糸調子の調整は、下記のようにボビンケースの「糸調子ネジ」を回転させて行います。
目盛りが付いているわけではないので、メモとして控えていない限り、自分がどれだけ回したか分からなくなっちゃいますよね・・・
そんなことも合って、触れるのを躊躇している方も多いかも知れませんね。
糸調子は基本、下糸を合わせてから上糸を調整します。
ですから、ボビンケースの付いているタイプでは、先ずはこの下糸の調節からスタートします。
もちろん今現在、糸調子が合っている方は無理やり変える必要はありませんよ。
色々な生地を縫製しながら、上糸の糸調子だけでバランスが取れない時は下糸も確認した方が良いでしょう。
下糸は上糸よりも張力が低いため、微妙な調整が必要となります。
取扱説明書では、下記のように書かれています。
ボビンケースの糸調子はボビンケースにボビン(糸はポリエステルスパン#60)を入れて、軽く振って徐々に落ちる程度が目安です。
この下糸の張力に合わせて上糸の糸調子を調整してください。
何とも分るような、分からないような説明ですよね。
微妙な調整が必要な割には、何ともアナログな表現です。
上記は、JUKIの職業用ミシンを引用していますが、ブラザーもジャノメもマニュアル表記は同じような感じです。(シンガーやブラザーの一部は重りをぶら下げて糸の出方をみる方法もあります)
この手の説明は、非常にやっかいでメーカーの方も苦労されているのだと思いますね。
私も、縫製工場に入った時に、先輩に大体これくらいという説明を受けました。
マニュアル(図解)で見るよりは、断然目の前でやってもらった方が分かりやすいのですが、それでもさじ加減がありますので、感覚は人それぞれですよね。
糸を持って軽く上下に振った時に、ゆっくり降りて止まる状態を基本とする。
振っても少しも動かない時は、
→ネジを緩めて張力を弱くする(半時計回し)
振らなくても落ちてしまう時は、
→ネジを締めて張力を強くする(時計回し)
但し、生地や糸によっては、緩めだったり、強めだったりした方が上手くいく場合もあります。ここがノウハウでもあります。
工業用ミシンの取り扱いは、このようにカンと経験がものをいう世界なんですよね。
ベテランの作業者は出来上がったものを確認しながら、都度微調整していきます。
そうでないと、条件の変化に対応できなくなりますからね。
こうして縫製マンはスキルアップして行くのです。
まさに職人技・・・と感心しますが、実際はもっと便利な機器があるんですよね。
それがこちらのテンションゲージ。
こちらはボビンケースの製造元TOWAが提供しているもので、張力を数値化できる測定器です。
JUKIのシュプールシリーズなど、職業用ミシンを使っていらっしゃる方でも使用することができます。
これがあれば新人にも正確に教えられますね。
実際、ほんの少しドライバーで回転させるだけで、張力(g)の変化を数値で確認することができます。
また先日解説しました、空転防止バネ付きも、バネなしも測定可能です。
ちなみにTOWAさんに確認したところ、
JUKIの職業用ミシンの純正品は、スパン#60を巻いたボビンを釜にセットした時で18±3g(15g~21g)に初期設定されているそうです。
これでしたら数値で元にも戻せますので、初心者でも 安心して調整できますね。
それでは、素敵なソーイングライフを・・・