レザークラフト用のミシン選び、革でも縫えるおすすめミシンの選び方
皆さんこんにちは
ハピメイド手芸教室のmichiyoです。
前回は、皮革の選び方 についてご紹介しました。
ところでレザークラフトと言うと、手作業専門の方が多いかも知れませんね。
菱目打ちを使って穴を開けて手縫いするのは、職人気分でなかなか楽しいものです。
でもミシンを使うと縫製強度も増しますし、ステッチなども手とは比べ物にならないくらいスピーディになり、レザークラフトの幅が広がります。
今日は、レザークラフトをする際のミシンの選び方についてご紹介します。
レザークラフトミシンの選び方
ミシンの選び方についてはこれまでにも何度かご紹介しておりますが、先ずは工業用・職業用・家庭用の3パターンから選ぶことになります。
革の縫製でもそこは変わりありません。
ところで革には「厚い」「硬い」「滑らない」といった特徴があります。縫製経験者ならばご存知かと思いますが、これはミシンにとっては非常に曲者といえます。
柔らかい布を想定した一般のミシンでは、まず歯が立ちません。
そこで、革の縫製にはそれに適したミシンを選ぶ必要があります。
それでは、工業用ミシンから順番に特徴をご紹介しましょう。
工業用ミシン
本格的にレザークラフトを始めるのであれば、工業用ミシンの一択となります。
工業用ミシンと聞くと敷居が高く感じる方もいらっしゃると思いますが、一般の家庭でも工業用ミシンを保有されている方はたくさんいらっしゃいます。
私の縫製仲間も、実際半分以上の方が自宅に工業用ミシンを保有されていますね。
ちなみに工業用ミシンは車同様、中古品流通が開けた市場です。
部品交換すれば、いつまででも使用できますので、無理に新品にこだわらず、中古を探すのがコスト的におすすめです。
工業用ミシンは家庭用ミシンと違い、汎用タイプという考え方はありません。何かしらの専門性を持ったミシンとなります。
つまり、無数に種類(組み合わせ)があるということです。
探し方のポイントとして気にかけるのは、先ずは革の上側も送ってくれるタイプのミシンを選ぶこと。
上の画像は、工業用ミシンの中でも最もメジャーな平ミシンと呼ばれるものです。作業性も高く、一番活躍するミシンと言っても良いでしょう。
少し変わった特徴としては、上下送りのタイプになります。
皆さんがよく目にする家庭用ミシンは、通常下の送り歯のみで生地を動かします。
工業用ミシンにはこの普通の下送りに加え、針送りミシン、差動上下送りミシン、上下送りミシン、総合送りミシンなどと呼ばれる種類があります。
【厚物縫いミシンに優れたタイプ】
- 上下送り:下送りと同調して上送りも動く
- 総合送り:下送りと同調して中押えと針棒も動く
分厚い革の場合には、下送りだけですと縫いずれが起こりやすくいため、出来れば総合送り、または上下送りのミシンを選ぶのが安心です。
ほとんどの作業は平ミシン一台で十分ですが、バッグなど立体的な製品も始めるならば、腕ミシンも欲しくなります。
腕ミシンとは下の画像のように、腕がニョキっと生えた感じのミシンです。
腕ミシンがあれば、袖口のように平ミシンでは縫えない筒状の部分なども縫製できます。逆に腕ミシンのみで全ての作業をすることも可能ですので、作業性さえ気にしなければこの一台という選択肢もあります。
またミシンとは脱線しますが、状況によっては革漉き機などもあると便利です。
これらの工業用ミシンは普通のミシン店ではなく、専門の取り扱い業者で販売されています。
基本、プロ用を想定していますので、はじめての方はペダルを踏んだ時のスピードに圧倒されるかも知れませんね。
業者さん探しは以前はツテがなければ難しかったのですが、今はネットで探せば誰でも簡単に見つかります。まずは目的を明確にして販売店の方に相談することから始めます。
そして自信のない方は触ってから購入するのが良いでしょう。
職業用ミシン
工業用ミシンが欲しいけれどスペース的に苦しい・・または趣味の範疇なのでそこまでは必要ないと言う方は職業用ミシンがおすすめです。
家庭用ミシン同等、持ち運びの出来るコンパクトサイズで、直線縫いに特化したミシンです。(直線縫いに特化と言うのはジグザグ縫いが出来ないと言う事です)
その分シンプルな構造で馬力や耐久性を持たせてあります。
職業用ミシンは、家庭用平針(HA・HL)を使用するタイプと工業用丸針(DB)を使用するタイプに分かれています。それぞれ一長一短ありますが、革の縫製には、より貫通力と強度に勝る工業用針のモデルを推奨します。
家庭用ミシンに比べれば格段にパワーのある職業用ですが、その中でも特に厚物範囲をカバーしたミシンが良いです。職業用ミシンの中でもハイエンドとなりますが、性能を求めるならばどうしてもそうなってしまいますね。
以前も厚物用の秘密兵器としてマジックカケのご紹介をしましたが、下記のモデルがレザークラフトにはおすすめです。
エクシムプロ EP9400LS 極(きわみ)
ベビーロックの厚物用モデルです。ベビーロックと言えば家庭用ロックミシンでは他の追従を許さない知名度ですが、こちらの職業用ミシンも縫製仲間内では抜群に人気の高いミシンです。
なんと8番手の太糸も縫製できるスペックで、これまでの職業用ミシンとは明らかに一線を画すミシンと言えるでしょう。
SL-700EX HY-SPEC(ハイスペック)
こちらは、言わずと知れた職業用ミシンの定番中の定番JUKIのミシンです。
普通のモデルでも高機能ですが、このモデルは太糸テンションや専用針板など、厚物用に特化した性能が詰め込まれています。
工業用ミシンメーカーとしての技術が網羅されていますので、買って安心の一台です。
これらの職業用ミシンは、通常のミシン店で購入可能です。
家庭用ミシン
さて、最後は一般の方に最もなじみがある家庭用ミシンです。
初心者の方の多くは、家庭用を視野に探し始める方が多い事でしょう。
他者のブログを見ていると、「月に数回趣味程度で使いたい人には十分?」などと書かれていることもありますが、はたしてそうでしょうか。
たとえ趣味の領域であったとしても、縫製できなければガラクタ同然です。実際コンパクトミシンに限らず、ミドルレンジのミシンでも革を縫製するのは難しいです。
革の種類にもよりますが、最低でも厚物を意識したミシンを選ぶ必要があります。
HOME LEATHER 110
レザークラフトのファンの方なら誰でもご存知のクラフト社。
そんなレザー専門会社がジャノメミシンとの共同開発により発売したのがホームレザーミシンです。
1990年の発売以来、家庭用のポータブルミシンとしては知名度もありましたが、2016年に製造中止となっています。
後継機種ではありませんが、ジャノメでは現在下記のミシンを推奨しています。
ジャノメ LC7500、LC7500 K
現在、ジャノメよりレザークラフト対応ミシンとして推奨されているモデルです。
先に紹介したホームレザー110とは下記のような違いがあります。
ホームレザー110 | 水平全回転かま | 電子ミシン |
LC7500 | 垂直半回転かま | 電動ミシン |
どちらのミシンにも共通するのは、押さえ圧を強くして糸調子が太糸用に初期設定されていることですね。
その為一般のミシンに比べれば、レザー縫いの調整がしやすく感じることでしょう。
ただし、モーター出力やギア比は一般のミシンと同じですので職業用と比べるとどうしても針の貫通力などでは不満も残ります。
LC7500、LC7500Kはいずれも電動ミシンなので縫う力はモーターの回転数に比例します。
カタログ上では革は2枚重ね3mmまでとなっていますが、ゆっくり縫うと針が刺さらない場合があります。
また、革の種類やなめし具合によっては針が刺さらないこともありますので、過度の期待はしない方が良いでしょう。
LC7500Kは後から発売されたモデルで色が黒、ハードカバーが付くなどの特徴があります。
今どき電動ミシンという意見もあるかも知れませんが、アルミダイカストボディなど、昔のミシンのように丈夫なミシンをコンセプトとしているように感じます。
職業用と同じく無駄な機能を削いだ印象です。
押さえ圧も無段階調節となっていますので、ニットソーイングなどもやりやすいでしょう。
またフリーアームなので袋物などを作る人にも嬉しいですね。
更にレザー押さえやレザー針が標準で付属します。
生地を挟み込んで布を送る「送りジョーズ」はオプションです。3,000円程度のものですので、ミシンを購入するお店に確認して合ったものをセットで購入するのが良いでしょう。
参考として、実際縫っている動画も貼っておきますね。
ひと言でレザークラフトと言っても、アイテムはたくさんあります。
革も同様に柔らかいものから硬いものまでさまざま。予算やスペースなどに合わせてご参考ください。
おまけ情報ですが、革を扱う場合にはニトフロンテープがあると何かと便利ですよ。