ハーバリウムでやってしまいがちな失敗と対処法
こんにちは。ライターの斎藤あやかです。
ハーバリウムは花材を瓶に入れてオイルを注ぐだけ…と簡単な手順で作ることができますが、やってみるとうまくいかず意外と難しいと感じるかもしれません。
この記事では、私が実際にやってしまった失敗やよく聞く失敗とその対処法をご紹介します。
ハーバリウムの花材が浮くor沈む
オイルを入れると花材が浮いてしまい、当初デザインしていたものと違ったものになってしまってがっかりした経験はありませんか?
花材の浮きをいかに防ぐかということが、思い通りのデザインに仕上げるポイントといっても過言ではないと思います。
花材を浮きにくくするためには、花材の選び方や配置はもちろん、オイルの選び方も工夫ができます。
では、花材を浮きにくくするための具体的なコツをご紹介していきます。
そもそも、花材が浮く条件というのは、オイルよりも花材の比重が小さいときです。
たとえば、オイルの密度が1として、花材の密度が0.8だとすると、花材はオイルに浮いてしまいます。
花材の密度が1.1なら、オイルに沈んで浮かなくなります。
つまり、花材を浮かないようにするポイントは「密度の低いオイルを選ぶ」か「花材の密度を高くする」ことといえます。
まず、オイルについて考えてみましょう。
ハーバリウム用のオイルには、大きく分けて「ミネラルオイル」と「シリコンオイル」の2種類があります。
それぞれメリットやデメリットがあるのですが、花材の浮きにくさでいえば「ミネラルオイルのほうが浮きにくい」です。
シリコンオイルよりもミネラルオイルのほうが比重が低いのです。
さらに、シリコンオイルよりもミネラルオイルのほうが花材に染み込みやすい(花材の密度が高くなる)という点も花材の浮き防止に一役買ってくれます。
オイルの注ぎ方も少し気をつけるだけで花材が浮きにくくなります。
ポイントは、一気に大量に注がないことです。
一気に大量にオイルを注ぐと、それだけでも花材が浮いてきてしまうことがあります。
オイルを瓶の側面に沿わせるように、ゆっくりと注いでみてください。
竹串などをあてて、オイルが伝うようにするといいですよ。
次に、花材の密度を高くすることについて考えてみます。
オイル自体も花材に染み込みやすいものと染み込みにくいものがありますが、花材にもオイルが染み込みやすいものと染み込みにくいものがあります。
オイルが染み込むとそのぶん密度が高くなりますので、浮きにくくなります。
アジサイなどはしっかりとオイルが染みこみます。
「オイルが染み込みやすく密度の高い花材は浮きにくい」ということを覚えておくと役に立つと思います。
ちなみに、ドライフラワーかプリザーブドフラワーかでいえば、ドライフラワーのほうが浮きやすく、プリザーブドフラワーのほうが浮きにくいです。
ドライフラワーは生花から水分を抜いているので、オイルとの比重は低くなり、浮いてしまいやすいのです。
プリザーブドフラワーはドライフラワーと同じく生花から水分を抜いているものの、特殊な液体を浸して作られているので、ドライフラワーに比べると密度が高いのです。
花材を浮きにくくするには、オイルはミネラルオイルを選んだり、花材は浮きにくい花材を選べばいいということになりますが、やはりシリコンオイルのメリットも捨てがたいところですし、浮きやすい花材でハーバリウムを作りたい!ということになればテクニックが必要です。
まず、配置を考えてみましょう。
層になったレイヤースタイルのハーバリウムを作るとして、浮きやすい花材を浮きにくい花材の上に配置してしまうと当然ですが浮きたい放題になってしまいます。
浮きやすい花材を浮きにくい花材の下に配置し、浮きにくい花材で重しをするようにするといいですよ。
ただし、重しにする花材が重たすぎて花材全体が沈んでしまったことがありました。
こちらの画像では少し見にくいかもしれませんが、黄色のバラの花びらを1枚アジサイの上に乗せたら、その重みでどんどん沈んでいきました。
重しだからといって張り切って重たそうなものを選ばなくとも、アジサイだけでも十分でした。
次に花材の量です。
花材をどのくらい入れるのか?ということは、デザイン決めにも影響してきますが、浮きにくさでいえば花材が多めのほうが花材同士が絡まり浮きにくいです。
少ない花材で浮かないようにしたい場合は、思い切って花材を固定してしまうのも手です。
ゴアナクローやカーリースモーク、カスミソウの枝など絡ませやすいものに絡めたり、花材の下のほうへ重しをグルーガンなどで接着してもいいですね。
接着する場合はグルーが見えないように他の花材で隠すようにするときれいです。
花材の位置を緻密に調整したい場合は、透明なプラ板などに花材を接着してプラ板ごと瓶に入れるという方法もあります。
花材の浮き・沈みに悩まされることなく、思い描いた通りのハーバリウムが作れるようになるといいですね!
瓶がヌルヌルベトベトに…
オイルを注ぐときに、うっかり瓶の外側にオイルがついてヌルヌルになってしまったことはありませんか?
パウチに入ったオイルを瓶に注いだときに、瓶の外にオイルがたくさんついてしまったことがあります。
紙コップなど注ぎやすい容器に移し替えたほうがよいということを学ぶと同時に、瓶についたオイルはティッシュやウエットティッシュで拭こうが、水洗いしようがなかなか取れないということを学びました。
もし瓶にオイルが付着したら…そんなとき役立つのが、台所用クリーナーです。
IHコンロクリーナーや、電子レンジクリーナーとして、ドラッグストアや100均にも売られています。
油汚れを落とすものなので、瓶に付着したミネラルオイルもきれいに落とすことができます。
中性洗剤をウエスなどにつけて落とすこともできますが、キッチンクリーナーはシートタイプになっているので使いやすいです。
手が荒れやすい方は、念のため手袋を使用した方が無難です。
拭き取ったあとは、乾いた布などで乾拭きしてくださいね。
ただしシリコンオイルはキッチンクリーナーで落とすことができません。
シリコンオイルを落としたい場合は、少しお値段は張りますが 専用のシリコンクリーナーを使うことをお勧めします。
気泡をしっかり抜かなかった
オイルを注いだ後、しばらく気泡があがってきます。気泡が抜けた後に蓋をするようにしたいのですが、「もう全部抜けたかな?」と思っても意外に抜けておらず、あとからまた気泡が出てくる…ということがあります。
オイルを注いでだいたいの気泡が抜けたら、花材を竹串などで少し揺らしてみると残っている気泡が抜けてきます。
気泡が抜けると、オイルのかさが入れたときよりも減ってしまいますので、減ったぶんは足してあげましょう。
瓶の肩くらいまでオイルを入れていましたが、気泡が抜けてきてオイルのかさが減っているのがわかると思います。
オイルを混ぜてしまった!
シリコンオイルとミネラルオイルを混ぜると白濁してしまうので混ぜるのは厳禁です。
このことは、知っているよという方も多いと思います。
では、同じオイル同士ならどうでしょうか?
筆者が試したことがあるのは、ミネラルオイル同士です。
ミネラルオイルAを注いだ後に、ミネラルオイルBを注いでみたところ、オイル同士が触れている部分がやや白濁し、のちに透明になりました。
が、よく見ると2種類のオイルは混ざらず分離しています。
白濁することはありませんが、境界線ができています。
こちらの写真では少し見にくいかもしれませんが、水色の線を下に移動させるようにして見てみてください。
赤い矢印で示していますが、境界線が入っています。
同じミネラルオイルという分類であっても、粘度などが異なるため分離してしまったのかもしれません。
カビが発生
ハーバリウムにカビが発生してしまうことがあるようです。
カビの原因は瓶を消毒せずに使ったり、消毒したあとに乾燥が不十分だと発生する可能性があります。
乾燥させる時間を少しでも短縮させたい方は、ドライヤーの風を瓶の中に当てると早く乾きます。
また、花材についていたホコリなどからカビが発生する原因になります。
ハーバリウムなどが人気なこともあり、花材はフリマアプリなどでも安く買うことができます。
きちんと管理されている花材ももちろんあるのですが、基本的には一般家庭で保管されているものなので湿気ってしまっていたりホコリがついていたりすることもあります。
カビを発生させないという観点からも、花材は管理がきちんとしたお店で買うほうがおすすめです。
花材が多すぎて暗いハーバリウムに…
ハーバリウムの中には花材をたっぷり入れたデザインのものもあるので何ともいえませんが、花材が多すぎると光が通過しにくく暗い感じのハーバリウムになっていまします。
こちらは筆者の子どもに好きなように花材をいれてもらったものです。
子どもなので、目についたものを詰められるだけという感じです。
ハーバリウムとしては光があまり通らず、特有の明るさや輝きが感じられません。
花材を瓶に入れる前に、瓶を倒して置いた横に空間を意識しながら花材を並べてみると入れすぎを防ぎ、明るく洗練されたイメージのハーバリウムが作りやすくなりますよ。
花材をたっぷり詰めたデザインもありますが、その場合は優しい印象のパステルカラーの花材を使っていたり、鮮やかな色の花材を組み合わせて作っている方が多いように思います。
光が通りづらいところを花材などの色でカバーできると素敵な作品になりますね。
ハーバリウムは簡単そうに見えますが、自分がイメージした通りの作品を作るためには、失敗して経験して工夫する…ということが不可欠だと思います。
これらの失敗がみなさんのハーバリウムづくりの成功のもとになれば幸いです。