母から娘への贈り物|なつかしい「結び糸」の思い出
皆さんこんにちは
ハピメイド手芸教室のmichiyoです。
先日「はた結び」のやり方についてご紹介しました。
(解らない方は動画も見て下さいね)
「はた結び」はロックミシンの糸替えだけではなく、編み物で毛糸をつなぐ際にも利用します。
手芸の世界では身近な結び方なのですが、実は私にとってそれ以上に思い入れのあるものなのです。
それは、母が作ってくれた着物。
と言われても、多くの方には「着物」と「はた結び」の関連は謎でしょうね。
(東海地方のミセスはご存知の方がみえるかも・・)
今日はそんな思い出の「はた結び」についてご紹介します。
母から娘へ贈る究極の着物
反物(たんもの)が糸から作られるのは周知のことですね。
その際の糸は長い糸を使うのが普通ですが、「むすび糸」を使う場合があります。
「むすび糸」とはそのままでは使用できない短い糸を一本一本手で結び、長くしたものを言います。
資源がなく、物を大切にしていた昔らしい話ですね。
そしてこの時の結び方はもちろん「はた結び」です。
数十センチの絡まった糸くずを解いては結び、これを延々と繰り返して長い糸を作ります。
気の遠くなる作業を繰り返し、1反物分の糸玉が完成するには数か月かかります。
いくら有効活用とはいえ、人件費が高い今の時代には考えられない作業です。
ただ東海地方(主に愛知・岐阜・三重)では、今でも一部この風習が残っているんですよ。
それは母から娘への贈り物として・・・
もったいないという精神だけじゃなく、手間暇をかける行為そのものに心を込めるのです。
母からの愛情。
そう。それは、まさに母娘の縁結びとも言えるでしょう。
実は、私の母も入院後のリハビリを兼ねて結び糸を2反分作りました。
私が、ちょうど成人を迎えた頃ですから、30年近く前の話になります。(歳バレちゃいますね)
目を充血させながら、ひたすら根気に糸を結ぶ母の姿を思い出します。
その反物は、1反はそのまま、そして1反が着物となって私の手元にあります。
どうです。素敵でしょ!!
(まだ袖を通したことはありませんが宝物です)
世界に一つしかない、この上ない愛情を感じる着物ではありますが、そのような意味だけじゃなく、デザインとしてもお気に入りです。
そうなんですよね。着物には色々な趣の織り・染め方がありますが、「結びちりめん」はとっても味わいのある素敵な技法なのです。
「あら、素敵なお着物ね!」
「そうなの、これ実は結び糸で・・・」
など、話題性にも事欠きません。(妄想)
最近は忙しく、趣味の編み物でさえも中々出来ない私です。
でも、母がしてくれたように、私も娘にはいつか作ってあげたいです。
皆さんもこんな贈り物、いかがですか・・・
余談ですが、たとう紙だけを頼りに仕立てて頂いたお店を探し出し、問い合わせてみました。
4代目のご主人に伺ったところ、着物の仕立てはすっかり激減しましたが、今でもむすび糸持参で機織り・着物の仕立てなど対応していただけるそうです。
呉服加島屋 名古屋市中区丸の内2丁目2-7 電話:052-211-2007