母から娘への贈り物|なつかしい「結び糸」の思い出
![母から娘への贈り物|なつかしい「結び糸」の思い出](https://sewingschool.hapimade.com/wp/wp-content/uploads/2016/09/musubiito00.jpg)
皆さんこんにちは
ハピメイド手芸教室のmichiyoです。
先日「はた結び」のやり方についてご紹介しました。
(解らない方は動画も見て下さいね)
「はた結び」はロックミシンの糸替えだけではなく、編み物で毛糸をつなぐ際にも利用します。
手芸の世界では身近な結び方なのですが、実は私にとってそれ以上に思い入れのあるものなのです。
それは、母が作ってくれた着物。
と言われても、多くの方には「着物」と「はた結び」の関連は謎でしょうね。
(東海地方のミセスはご存知の方がみえるかも・・)
今日はそんな思い出の「はた結び」についてご紹介します。
母から娘へ贈る究極の着物
反物(たんもの)が糸から作られるのは周知のことですね。
その際の糸は長い糸を使うのが普通ですが、「むすび糸」を使う場合があります。
「むすび糸」とはそのままでは使用できない短い糸を一本一本手で結び、長くしたものを言います。
資源がなく、物を大切にしていた昔らしい話ですね。
そしてこの時の結び方はもちろん「はた結び」です。
数十センチの絡まった糸くずを解いては結び、これを延々と繰り返して長い糸を作ります。
気の遠くなる作業を繰り返し、1反物分の糸玉が完成するには数か月かかります。
いくら有効活用とはいえ、人件費が高い今の時代には考えられない作業です。
ただ東海地方(主に愛知・岐阜・三重)では、今でも一部この風習が残っているんですよ。
それは母から娘への贈り物として・・・
もったいないという精神だけじゃなく、手間暇をかける行為そのものに心を込めるのです。
母からの愛情。
そう。それは、まさに母娘の縁結びとも言えるでしょう。
実は、私の母も入院後のリハビリを兼ねて結び糸を2反分作りました。
私が、ちょうど成人を迎えた頃ですから、30年近く前の話になります。(歳バレちゃいますね)
目を充血させながら、ひたすら根気に糸を結ぶ母の姿を思い出します。
その反物は、1反はそのまま、そして1反が着物となって私の手元にあります。
![結び糸の反物](https://sewingschool.hapimade.com/wp/wp-content/uploads/2016/09/musubiito05.jpg)
どうです。素敵でしょ!!
(まだ袖を通したことはありませんが宝物です)
世界に一つしかない、この上ない愛情を感じる着物ではありますが、そのような意味だけじゃなく、デザインとしてもお気に入りです。
そうなんですよね。着物には色々な趣の織り・染め方がありますが、「結びちりめん」はとっても味わいのある素敵な技法なのです。
「あら、素敵なお着物ね!」
「そうなの、これ実は結び糸で・・・」
など、話題性にも事欠きません。(妄想)
最近は忙しく、趣味の編み物でさえも中々出来ない私です。
でも、母がしてくれたように、私も娘にはいつか作ってあげたいです。
皆さんもこんな贈り物、いかがですか・・・
余談ですが、たとう紙だけを頼りに仕立てて頂いたお店を探し出し、問い合わせてみました。
4代目のご主人に伺ったところ、着物の仕立てはすっかり激減しましたが、今でもむすび糸持参で機織り・着物の仕立てなど対応していただけるそうです。
呉服加島屋 名古屋市中区丸の内2丁目2-7 電話:052-211-2007