ミシンの常識「プーリーは逆回転させたらダメ」って本当?

ミシンの常識「プーリーは逆回転させたらダメ」って本当?

皆さんこんにちは

ハピメイド手芸教室のmichiyoです。

 

手芸教室で生徒さんと話していて「あれ?」と思ったときのお話です。

長年縫製に携わってきた私は「ミシンのプーリーは逆回転させると故障の原因になる」と理解していました。

実際、古くからの縫製仲間は皆同じ認識でいますし、修理屋さんも同じようなことを話していた記憶があります。

 

でもこの常識って、案外知らない方が多いみたいですね・・・

少し気になって今のミシンのマニュアルをいろいろ探ってみましたが、JUKI・ブラザー・ジャノメの大手3社とも、どこにもそれらしき記載がありません。

確かに「はずみ車を手前に回し、針を上げる」などの表現は機種によってはあるものの、

「逆回転は故障の原因になる・・・」のようにストレートな注意喚起はありませんでした。

 

あれ? もしかして今のミシンは改良されていて、そんなこと気にする必要はないのかしら・・・?

手芸教室を名乗る以上、化石化された情報でいるのはマズイので、今回ミシン製造の大手3社に聞いて見ました。

今日はそんなプーリーについての豆知識です。

プーリーとは?

そもそも「プーリーって何?」って方の為に、予備知識から・・・

プーリーとはミシンの右上についているものです。

ミシンのプーリー(はずみ車)

日本語では「はずみ車」と呼びます。

(厳密にいうとプーリーとはずみ車は違う役割ですが、ミシンの場合は同じものとして呼んでいます)

ミシンが動いているときは、これがクルクルと回っています。

・・と言うかこれが回るから縫製が出来ると言った方が正確ですね。

 

若い方は知らないかも知れませんが、昔は下図のような足踏みのミシンでベルトを使って軸をグルグル回していました。

足が動力となっていたのです。

アンティークミシンのはずみ車

はずみ車は、回転を一定スピードに安定させる目的がある為、昔はこんなに大きかったのですね。

アンティークミシンを見ると、はずみ車は皆異様に大きいです。

今は電気によりモーターで回転させますので、プーリーも小さくなっています。

 

ミシンはプーリーを回転させることにより、動力が各パーツへと伝達されます。

例えば針を上下に動かしたり、釜を回転させたり、布を送ったりなど・・・

 

プーリーはモーターが回っていなくても手でも動かせます。

もちろん縫製も出来ますよ。

 

たまにこのプーリーが重たくなったり回らないトラブルがありますが、それこそいろいろな原因が考えられます。

なんせ、いろんな所につながっていますからね・・

最悪は油切れによる焼き付きなどの事例なんですが、こうなると完全に修理に出さなくてはなりません。

でも案外単純な原因の場合も多いんですよ。

例えばプーリーの軸に上糸が巻き付いてしまったり、釜に糸くずが絡んでいるなど・・・

釜なんてプーリーとは距離がある為、構造を知らないとなかなか目が届かないんですよね。

普通に縫製をしていても、ふとした衝撃で内釜がずれることもありますので、釜周辺は結構ありがちなポイントです。

 

メカ的には「プーリーを回せば、各部品が動き出す」みたいな感覚でいると分かりやすいですよ。

 

プーリーの回す方向は決まっているの?

プーリーの回す方向

ミシンは内部でとても複雑な動きをしています。

特に最近のミシンは補助的なパーツが増えていますのでごちゃごちゃです。

あちこちで部品が動きますが、それぞれの動作のタイミングが合わないと、まともに縫製することが出来ません。

コンマ何秒どころか、それ以下でタイミングを合わせているんですよ。

プーリーの回転も、当然一定方向でしか縫製することが出来ません。

 

現在国内のミシンはほとんどが「手前に回す仕様」となっています。

(プーリーの正面から見ると半時計方向です)

ほとんどというのは例外もあると言う事です。

実際、私が保有する工業用のロックミシンなどは、逆方向に回転します。

このように古い工業用ロックや海外製のミシンなどは逆回転のものもあります。

 

プーリーを逆回転させたらダメなの?

さて本題のプーリーの回転方向ですが、結論から申しますと、3社共通で

「逆回転は現在でも推奨しない」との事です。

 

但し、以前のミシンに比べれば随分と改善されているのも事実なのだとか。

具体例では、ボビンを入れる内釜はプーリーを逆回転させることにより反対方向に動いて傷をつけてしまう事例もあったそうですが、今では工夫により反対に動くことは無くなったそうです。

このような改善により、故障につながるようなリスクは随分軽減されたようですね。

それと現在主流のコンピュータミシンや電子ミシンは、縫い終わりに針が上で止まりますので、プーリーを手動で動かす機会が少なくなったことも起因するのでしょう。

 

ちなみに逆回転により、糸切後の上糸の保持などでたるみが出来る事があります。

そうなると縫いはじめに、縫い目が出来にくかったりする可能性も出てきます。

これは一例ですが、このように「故障になるリスクは減ったものの、正常な動作を保つ為に逆回転はしない」と言う認識が良いかも知れませんね。

 

なお、絡まった糸の除去時などで一時的に逆回転させる場合もありますが、電源は必ず切って実施しましょう。

 

今日は、プーリーについてのお勉強でした。

それではまた・・・

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