古布紹介 ~街角テーラーの背広生地3点~

古布紹介 ~街角テーラーの背広生地3点~

皆さんこんにちは、手作り大好きライターのkaranです。

つい先日押し込んであった大量の布を整理したところ、なんと織り出しの耳がついている古い紳士服地の端切れが出てきました。

これは戦後に仕立て屋をしていた祖父の遺品で、縫い物をしない母がガラクタと一緒に「あんたがどうにかしなさい」という一言と共にうちに置いていったものです。

置いていかれたものの扱いがよくなかったため虫食いだらけでほとんど使えず、ずっとそのまましまってあったというか放置されていました。色々とひどい話です。

しかし当時のテーラーが使っていた高級紳士服地などめったに見られるものでもないと思ったので、冬生地ばかりで時期外れではありますが、この機会にこちらの場所を借りてご紹介させていただこうと思いました。

また耳にメーカー名があったのでそちらもちょっと追ってみました。

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1.ピンストライプ生地

背広用ピンストライプ生地

定番のウールのピンストライプですが4mm幅です。今でも紺地に白のピンストライプはありますが、どうも当時は細幅だったようです。

最近は幅が1センチ以上あってストライプ部分がくっきりした白のものが流行りらしく、しゃれた生地だと思って数年前に店頭やネットを見て探したことがあるのですが、その時はこの幅の生地は見つけることができませんでした。今回この記事を書くのでもう一度調べたところ、数点ほど細巾のピンストライプを見つけることができましたが、まだまだ太巾が主流のようです。

耳には「YOSHITAMI KEORI」「MADE IN JAPAN」の織り出しがあります。検索してみたところ、こちらのメーカーさんが出てきました。

吉民毛織株式会社 [ 紡績・紡織 ]
住所:愛知県 一宮市 萩原町西御堂615
電話番号:0586-68-1151

ホームページ等がないので詳細が分からないのですが、古いメーカーさんのようです。

今回調べて初めて知ったのですが、愛知県一宮市という場所は「尾州毛織物」と言って毛織物の有名な産地でした。

そんな土地に昔から続く老舗メーカーさんであるようで、このウールのピンストライプも古いのですがとてもきれいな生地です。

2.チャコールグレーのフラノ

背広用生地チャコールグレーフラノ

こちらも定番ですが、しっかりとしたかなり上等のフラノです。

ただしものがいいだけに虫食いもすごく、使えそうな部分はごくわずかでした。小物を作るにはいいかもしれません。

耳には「NIPPON KEORI」「NIKKE」とあります。ニッケのブランド名で有名な日本毛織のもののようです。

いい生地だったのでこれも気になって同等品を探したことがありましたが、メーター二千円以上とやはりそれなりのお値段でした。

日本毛織 衣料繊維事業ページ

3.グレンチェックのウール地

背広用生地グレンチェック

使ってしまったので少ししかありません。

これは少し長さもあり、虫食いもあまりなかったので子供のズボンとベストに仕立てました。

ちくちくするのでどちらも裏を張ったのですが、ズボンのほうは雪山に履いていっても大丈夫なほど暖かかったそうです。またウールそのものの脂が残っていて撥水がよく、外からは全然水が入ってこないと言っていました。

ズボンは駄目にしてしまったのですが、ベストはあまり使わなかったのでそのまましまってあります。

女の子なので合わせを逆にしたのですが、普通に男の子用で仕立てたほうがよかったかもしれません。裏はダブルガーゼです。

ベスト

これだけ文字の織り方が違い、「SANTISTA TEXTILES」と書かれています。

もしかしたら輸入生地だったのかもしれません。検索してみたところブラジルのメーカーが見つかりましたが、こちらの商品かどうかは分かりませんでした。

サンティスタ・テキスタイル

(ジーンズ地などの製造メーカーのようです)

 

当時の布は非常に高価であり、それに見合うだけの品質でもありました。そしてテーラーで背広を仕立てるというのはフルオーダーが基本でしたから、大変な贅沢であったとも聞いています。

仕立て屋だった祖父にはこんな逸話があって、曽祖父は道楽者で方々に莫大な借金を作り「借金は全部息子が払うから」と言い残して死んだそうです。仕方なく祖父が働いてその借金を全部返したそうなのですが、債権者に背広を無料で仕立ててチャラにしてもらったのではないかという話でした。

のんびりした時代の話ではありますが、それほど高価なものでもあったわけです。

また当時はスーツに使えるような布地は田舎にはなかったので、祖父は東京に電話で発注をかけて送っていてもらっていたと聞いています。なのでこれらの生地はおそらく、都内の仕入れ問屋から送ってもらっていたものだと思われます。

この他にも大量の端切れが積まれていた記憶があるのですが、祖父の家を建て替える時にすべて処分してしまったようです。

布のほかにごつい布切りバサミやピンキングバサミ、極厚の接着芯、大きな工業用ロックミシンなど様々なものがありましたが、それらもすべて処分してしまったようで、今思うと大変もったいないことをしたと思います。

フリマサイトなどを見ていると時々こういった古い端切れが出品されているのを見かけます。当時の価格を思うと破格の値段で出ていますので、使い道があるなら購入してみるのもいいかもしれません。

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