ミシン選びの基本、「自動糸切り」はどういう人に必要なの?
皆さんこんにちは
ハピメイド手芸教室のmichiyoです。
これまでにもミシンの選び方の記事は何度か紹介してきましたね。
今日はミシン選びでお悩みの際、ズバリ自動糸切り機能は必要か?と言うお話です。
ミシンには大体3万円を超えたあたりから、「自動糸切り機能」が付くモデルが登場します。
例えば2台のミシンで悩んでいたとして、片方は「自動糸切り付き」、もう一方は「自動糸切りなし」だったとします。
値段はどれだけでも安く抑えたいけれど、今後のことを考えるとちょっと無理してでも付いていた方が良いのでしょうか・・・?
今日はそんな疑問にお答えします。
自動糸切り機能は付けるべき?
何でもあれば便利なことは間違いないですが、最初に結論を言ってしまえば
「無くても良い」でしょう。
もう少し正確に答えると、下記のようになります。
- ミシンを使う頻度が高い方⇒ 絶対付けた方が良い。
- ミシンを使うのが年に数回程度の方⇒ 無くてもそれほど問題はない。
「そもそも自動糸切りとはどれくらい便利なの?」について答えるには、先ずは知って欲しいミシンの歴史があります。
自動糸切りの役割を知るうえで欠かせない物語ですので、しばしお付き合いください。
時は終戦直後、日本には一気に洋服ブームが訪れました。
それにより日本のあちこちで縫製工場がフル稼働することとなりましたが、肝心のミシンは残念ながら戦災と没収で無くなっています。
そんな背景もあり、日本でも100社を超えるメーカーが大慌てでミシン製造を行いますが、どこの製品も性能は正直イマイチでした。
それもそのはず、当時は独自で開発する技術力も予算もなく、海外製をバラして設計するコピー商品だったのです。
ミシンの故障などは日常茶飯事の光景でした。
そんな中、工員たちの負担となっていたのが糸を切る作業です。
彼女たちは一日に千回以上もハサミを使って糸を切っていました。
作業効率を上げる為には、より早くカットする技術が必要となりますが、急げば勢い余って生地を傷めてしまうリスクも高まります。つまり糸切りの作業は、疲労と合わせて彼女たちを何重にも苦しめていたのです。
そしてそれは、世界中の縫製工場共通の悩みでもありました。
ドイツやアメリカなどの世界の名だたるミシンメーカも、もちろん開発しようと技術力を結集しましたが、なかなか上手くいきません。
何度作っても欠陥ばかりでした。
と言うのも、工業用ミシンは当時でも十分高速で、例えるなら回っているプロペラに手を入れるようなタイミングとスピードが要求される神業的な技術だったのです。
そして、それを世界に先駆け開発したのが、日本のJUKI(当時の東京重機)です。
紆余曲折の開発過程は下記で詳しく紹介されています。
JUKIの工業用ミシンは、今では世界のトップシェアを握っていますが、これらの高い技術力の成果です。
今でこそ、日本人は高い技術力と品質に誇りを持っていますが、こうした先人たちのおかげですよね。
ミシンは工業用の技術が、家庭用へと継承されています。
つまり「自動糸切り」は工業用ミシンではなくてはならない必須機能であり、効率をそこまで重視しない家庭用では、あれば便利だけどなくてもさほど問題ない機能と言えるでしょう。
但し、最近のミシンは、自動糸切りと共に「自動止め縫い」や「プログラム糸切り」が付いている場合があります。
- 自動止めぬい:ぬい始めとぬい終わりに自動的に止めぬいを設定できます。
- プログラム糸切り:あらかじめ設定しておけば、ミシンが自動的に止めぬいと糸切りを行います。
これはこれで、あると便利かもしれませんね。
何れにしても予算を考慮してご検討下さい。
なお手で糸を切る場合には、ミシン本体側面の糸切りを使って切ります。
短すぎると糸がらみの原因にもなりますので注意しましょうね。
それでは素敵なソーイングライフを・・・